科学と哲学のUME式実ボク!

UMEのスパ天における実戦からチョイス、印象に残ったスパーを徹底解説!

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唐突にいたスト2の話

個人的に自信があるゲームを突発的に語るシリーズである。
今回はSFCにて発売、ボードゲーム不朽の名作「いただきストリート2」である。

ゲームの説明はヨソにいくらでもあるので、早速攻略記事を。
なお私は「トーナメントモードノーリセット通しプレイ」をメインにやっている。
基本的にこのゲーム、目標金額を上げると難易度が下がる。運要素が減り、COMの思考ルーチンの粗が出てくるからだ。
適度に運要素があり、決勝以外は2位以内に入ればよいということで攻守のバランスというファクターもあり、
さらには目標金額の低さによって攻撃のスピードも必要になる。
個人的には一人で遊ぶなら、この遊び方がもっともオススメである。

基本的なことから気づきにくいことまで、思いつくままに列挙してみる。
なお以下はすべて上述の「トーナメントモードノーリセット通しプレイ」における戦略とする。
つまり勝利条件デフォルトで2位以内に入ることを念頭に置いた戦略である。

・お店は「広く浅く、ピンポイントで高く」

基本的にはこのゲーム、店舗を多く持ったほうが強い
高い店舗を所持していてもエリアに1軒では破壊力に欠け、安い店舗2つのほうがずっと費用対効果が良い。
また増資チャンスもそれだけ増えるし、中盤以降は5倍買いによる増資エリアの転換も図りやすい。
一箇所集中は相乗り10枚売り等の対処をされたときに脆いものだ。

その中で拠点となるエリアに1、2店舗ほど、高額店舗を所持しているのが理想的なバランスといえる。

・店舗格差を意識する

基本的には店舗格差が少ないマップのほうが「良いマップ」なのだが、そういうマップばかりではないのでやはり意識が持つべき。
ズバリいって店舗の場所によって同じ価格の店舗でも価値が往々にして違うものだ、ということである。
例えばレイクマウンテンは、銀行の斜め4方向の店舗は価値が低い。直撃が見込めない(回避がたやすい)からだ。
しかしエリア全体の店舗価格が低いため株価が非常に安価なエリア、特にてんぼうパーク左上(初期価格310G)の店舗を押さえておくと先制増資がしやすい。ここがおそらく序盤の最重要店舗である。
もっと露骨なのはクローバランドの銀行左右2店舗。ここはそれぞれの区画を回る際に2度通過する必要がある店舗なため
他に比べて重要度が明らかに高い。

とはいえこういった大事な店舗を取れるかどうかは賽の目次第、あまりこれらに固執すると空振りしたときがひどいので
やはり店舗を広く押さえ、柔軟に構えておくことが大事である。

・増資の目安は?

増資の純利益は所持株枚数(と株価上昇係数)に比例するのだから、なるべく多くの枚数を揃えてから増資したい。
しかしながら買い物料収入を早めに取れればリターンが非常に大きいので、即増資のメリットも捨てがたい。
これもマップごと、エリアごとによって性質が異なるということを意識しておきたい。

例えばレイクマウンテンはマークの取りにいく行かないに関わらず、放銃を避けるルート取りがしづらいマップである。
しかも初期資金も少ないため序盤の直撃のダメージが相当でかい。99枚あれば迷わず最大額増資にいくべきであるし
体感的には65枚999G増資で序盤なら十分に元が取れる。
ムーンシティもこれに近いものの、マーク集めを捨てれば回避は可能なマップなためもう少し優先度は落ちる(とはいえ大差はない)。
真逆なのがフリーウェイで、増資せずとも買い物料が非常に高く
店舗を広く持っていないとガリガリ削られてジリ貧になりやすいマップである。
そのため例え序盤に一転突破で先制増資に成功しても、増資終了後やることがなくなってじわじわ追いつかれる展開になりがちだ。総資産10000G近くまで焦らず手綱持ったままで大丈夫。

また時期によっても判断は異なる。
1回目の大型増資は株の枚数120くらいが目安。120枚で3軒エリアの増資を完了させたら
株を全て売却し次のエリアに移り、250枚で増資を完了させる。これで大体総資産20000Gに達する。
大事なのは攻撃のスピードを意識すること。まず第一に目標金額に最速で到達するビジョンを考えること。


・株はこまめに動かす

株の10枚買い、10枚売りはかなり重要で、それは「株価上昇係数」というパラメータの存在が大きい。
株を10枚以上売り/買いすると、株価が10%下降/上昇する。
それと同時に「株価上昇係数」という「株価の上がりやすさ」を示す隠しパラメータの下降/上昇が起こる。
これは非常に大きく、例えば100枚999G増資だと株価10円+で1000Gの儲けだったのが
1000枚まで揃えたら999G増資で株価30円上がって30000Gの儲けになった、とかってレベルである。

株の売買は、これらを念頭において行う。
99枚株を持っているエリアがあって200G持った状態で銀行を通ったら、とりあえず10枚買っておく。
99枚株を持っているエリアがあって50G持った状態で銀行の近くにいたら、ターン開始時に9枚売っておき
銀行を通ったときに10枚買いできるようにしておく。
99枚株を買うと所持金がほぼ枯れ、買い物料の支払いで10枚以上売らされる可能性があるなら90枚買いに留めておく、等々様々である。
特に終盤は、毎ターン株を動かすつもりで。接戦になればなるほど重要になる。
適切な所持金の金額に調整しつつ相手のエリアの株価を下げる、その枚数も吟味する、など。
株はいつでも売れるがすぐには買えないため、買うときは特に細心の注意を払うこと。

・5倍買いは麻雀でいう鳴き

5倍買いは相手の店舗に止まった際、所持金が足りていればその店舗を無理矢理店舗価格の5倍で買い取り、
そのうち3倍分が相手に渡る(2倍分は銀行にいく)というものである。
出費は大きいので序盤はそうそう使えない。やるなら中盤以降。

まずやりやすいのは、総資産ではっきり自分が優勢のとき。
5倍で買って相手に3倍分しかいかないという性質上、買って買われてと繰り返すとどんどんお互いの資産が減っていく。
こうなったときに先に相手が参ってしまうので、自分が優勢なときは積極的に仕掛けてよい。

そうでないときは、目的・メリット・デメリットを吟味する必要がある。
基本的には攻撃のスピードアップに使うもの。一方で守備力を犠牲にするという点は麻雀の副露によく似ている。
相手の主要エリアを切り崩すための守備的5倍買いは、意外とメリットが少ない。相手の攻撃スピードを遅らせたものの
出費がプラスになって返ってくるわけではないので、自分の攻撃スピードも遅れてしまいがちだからだ。
とはいえ必要な場面はある。これは5倍買いの一手だな、と確信できる場面で行おう。

終盤になるにつれて、5倍買いのハードルはどんどん下がっていく。
安い店舗なら増資チャンス拡大のためだけに買ってもいいくらい。
5倍買いで2軒目以上になるなら割と買ってよい。攻めが手広くなる。


・空き地の優先順位

空き地はヘリポート→税務署→(超えられない壁)→関所→宿屋→動物園or露店 という優先順位。
改築ありなら株買ってコンビニ改築→他の適当な店競売(株価変動)→株売却→改築で元に戻す→のコンボが鬼。


・各マップワンポイント

・貝がら島
あまり真面目にコメントするとこでもないマップ。先制増資が勝ちに直結する。

・レイクマウンテン
貝がら島をバージョンアップさせたようなマップ。先制増資が勝ちに繋がりやすい。

・クローバランド
銀行の両隣は常に最重要店舗。葉っぱ3つのうち2つを安全に回れるように立ち回りたい。

・ムーンシティ
先行増資が強力。縦横どちらか1ラインを安全に回れるようにしたい。というか終盤は片方しか歩かない。
ちなみに休日マスがある分横が若干不利。

・スラリン
銀行両隣と銀行下の4エリアが圧倒的に価値が高い。ここを何店舗取れるかで未来が決まる。
沢山取れたら3週目以降給料無視で、この4エリアの120枚増資で回せば勝てる。

・摩天楼
地下が強い。逆に地上の左上と右下がポンコツ。
従ってマーク集めは地下を1週半回るルートがオススメ。

・左半球
常に銀行を経由でき、初期株価がどこも安い。なので1週目からの増資は常に狙うこと。
半周して銀行を経由すると最初に通った道をもう一度通る選択肢があるので、オススメ(1週目で3軒エリアゲットが狙える)。

・フリーウェイ
ハンパな先制増資は死を招く。空き店舗がなくなるくらいまでは手綱持ったまま。
所持店舗数が勝敗に直結しやすい。強制競売ギリギリまで突っ込んで店舗買えるかの勝負。

・ドリームワールド
改築ありなら空き地狙い、なしなら左下狙い。初期株価は脅威の5G。
買い物料収入はそれほど望めないので増資で稼ぐ。株の枚数の見極めが肝要。地味に4隅が強い。

・太陽系
改築ありならもっとも勝ちやすい、というか負ける要素がないマップ。なしですら同様かも。
初手で必ず空き地を取り、出目が3以下なら左下へ(一応出目2択で空き地取れる唯一のルート)。
最速でヘリポートを抑えればそれだけで勝勢。税務署も取れれば勝ち。

・海底神殿
フリーウェイほどではないが、店舗が高いので勝負は中盤以降と意識すべし。
マーク集めに時間がかかるので、実はチャンスカードでかなり勝敗が左右される。ワープとか引くと味が良すぎる。

・カジノタウン
改築の有無に関わらず、銀行両隣の縦ラインが超重要。一本抑えておけば終盤は超快適で、2本押さえたら負ける要素がない。
この2ライン以外の店舗は一切必要なし。給料もさほど重要ではない。

・ソフィーの洞窟
初手ワープは是か非か、が結構悩みどころだが、個人的には初手ワープできるならワープが正解と見ている。
基本的に銀行がある1Fのほうが地下より強く、空き地2つを含む「あくまのぬまち」を押さえると勝ちやすい。

・日本列島
チャンスカード「バブル崩壊」で、銀行回り4エリアの店舗価格10%ダウンが確定している。正直このエリア触りたくない。
東北を拾いつつ北海道に飛ぶのが最初の狙いになる。終盤北海道の株を持って篭れたら鉄板。

・アレフガルド
ワープを回避しやすい分、右半分のほうが重要。とはいえチャンスカード85番(りゅうおうのしろへ飛ぶ)は怖すぎる。
目標金額25000Gまでに3エリア増資が必要なことが多いので、そのつもりでプランを練ること。


ちなみにこの記事は、一切資料を見ないで書いている。やっぱ結構やりこんだんだよなぁ俺。
関東対戦オフなんてのもやっているそうなので、1回いってみたいと昔から思っているのだが。
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  1. 2014/11/28(金) 08:20:17|
  2. その他ゲーム
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電王は名人の夢をみるか?

「今回の電王トーナメントで優勝したら、クラウドファンディングをして名人と戦う道を道を模索しようと考えてます。」

開発者の山本一成氏はそう戦前に語り、そして当トーナメント2年合わせて21戦全勝、ponanzaは決勝まで駆け上がった。
ponanzaが自身の評価値で1000点以上のリードを付けての終盤戦、先んじて対戦相手のAWAKEの評価値が1000を超え、やや遅れてponanzaが-400ほどまで急転直下。
あっというまに急上昇するAWAKEの評価値と、急降下するponanzaと、その通りに進む局面。
解説の西尾六段、立会人の遠山五段、現場の開発者達全員が具体的な原因がわからない。しかしわからないままに局面は
後手ponanzaの敗北へ向かって進んでいく。
この先にあるであろう、電王が電王でなくなる瞬間に、会場はただただ静まり返っていた。

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電王トーナメントに先立って、前回電王戦にも出場したYSSの開発者、山下宏氏の論文が話題になった。
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=106492&item_no=1&page_id=13&block_id=8

「将棋の歴代名人の強さを勝敗の結果と棋譜の内容から推定する。勝敗の結果から計算された2種類のレーティングは、どちらもこの20年間、羽生が最強のプレイヤであることを示した。またプロ、アマの合計6,500棋譜を将棋プログラム、Bonanza、GPSFishで解析した結果、羽生名人は大山15世名人よりレーティングで約230点上らしいことが分かった。同時に20棋譜程度で、すべての将棋プレイヤの棋力を推定できることを示した。」
と書いてある通りの内容であるが、非常に緻密に、それでいて実験的な手法でプロ棋士のレーティングの推測を行っている。

これによるとどうも、コンピュータによってプロ棋士の「悪手率」を調べることが、棋力の認定としてそこそこ有力らしいという。
Bonanza6.0やGPSfishを使い様々な視点からこれらを精査していくと、例えば森内竜王が2日制よりNHK杯の時間設定のほうがレーティングが高かったり
COM同士読み筋が合うのか、COMに対する悪手認定がうまく働かないということだと思うが
NDFのレーティングがさすがにあまりにも高くなりすぎるとか、改良の余地もいくつか見えるということがわかるものの
やはりどのような視点からみても、明らかに羽生善治名人はプロ間においても一つ抜けた存在であるということが、はっきりと示されている。
何せデータ通りに読めば、NHK杯の時間設定で2日制のタイトルを獲れる計算なのだ。

そしてこの論文は、以下の言葉でちらりと山下氏の本音をちらつかせて終わる。
「それでもなお突出しているのは羽生の点数であり、羽生とソフトの対決を期待してやまない。」

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コンピュータ将棋と名人、という2つの単語を並べると、やはり伊藤英紀氏の名前を出さないわけにはいかない。
伊藤英紀氏はコンピュータソフト「ボンクラーズ」及びその後継機「Puella α」の開発者である。
第1回電王戦で故 米永邦雄永世棋聖と対戦して勝利、第2回電王戦で塚田九段と引き分けた。
電王戦PVにおいてヒール役をつとめ(仕立て上げられ?)、「コンピュータ将棋は既に名人を越えた」という発言が話題になった人物である。

http://aleag.cocolog-nifty.com/

彼がブログで電王戦の裏話をあれこれ書いていたのが一時話題になり、私も全て目を通している。
伊藤英紀氏は今将棋連盟、マイナビ社、内館牧子氏に対する訴訟を起こし、法廷で争っていて
その過程がどうなっているのかはブログの更新が滞っていて把握できていない。いずれにせよなんとも残念なニュースである。

http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-8c5c.html

「改めて「自分の目標はどちらなのか。名人に勝つこと?名人を超えること?」と問うたとき、答えは明らかに後者でした。私はやはりエンジニアですから、「技術の到達度を確認すること」によって達成感を得るのです。勝負自体には特にこだわりはなく、勝負せずとも、超えたと客観的にわかるデータがとれればそれで十分。「Xデー」の定義は、名人に勝つ日でなく、名人を超える日とする方が適切でしょう。また実際問題、渋る相手との対局を実現するためにいろいろ政治的?な駆け引きやらをするのは「そんなの俺のやることじゃねーよ」という感じで、正直関わりたくないことでした。」

「(~中略)5月のWCSCまでは開発を続けることにしました。4月頃には完成し、11年版よりたしかにレーティング150程度上がったことが確認でき、この時点で名人越えの確信を持ちました。12年5月のWCSCではGPS将棋に次ぐ準優勝になりまして、これを最後にコンピュータ将棋の開発からは手を引きました。名人を越える「Xデー」は、11年だった可能性も若干あるが、おそらく12年だったろう、というのが現在の私の見解です。10年の時点ではまだ名人には届いていなかったでしょう。」

まとめると、「名人を超えることを目標に作っていたが、名人と戦う機会が訪れないので、名人をレーティングからの推測で"超えた"とどの時点で見れるかと考えることにした。その結果恐らく12年4月(第2回電王戦の1年前)の時点で名人を超えたといえるだろう」ということである。
この見解がどの程度正しいといえるかは正直分からない。

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名人というのは将棋界における頂点であり、象徴である。
そして歴代名人の中でも間違いなく最強であろう男、羽生善治名人。
将棋に興味のない人でもその名前を知っている、将棋界というよりもはや"将棋の象徴"とすらいえる存在だ。

あらゆるコンピュータ将棋開発者が、彼と戦う日を夢見ていることだろう。
最初はルール通りに指すことが精一杯であったであろうソフトが、定跡を積み、手筋を覚え、
自分の棋力を超え、コンピュータ将棋界で頂点に立ち
将棋界の頂点である羽生善治と戦う。多くの開発者が、ここを目指してやっているはずだ。

しかし、戦えないのだ。勝てない、のではない。戦う機会は、コンピュータ将棋が強くなれどもなれども訪れない。
そして次回で電王戦はFINAL、5対5の団体戦は終了となる。

「日本将棋連盟におけるタイトル戦は、スポンサーとなる(主に)新聞社の協力によって成り立っている。
従ってタイトルはスポンサーの持ち物であり、タイトルホルダーを将棋連盟が勝手に電王戦に出すわけにはいかない。」
この文言はいわば"鉄の掟"であり、2007年の渡辺明竜王(当時)対Bonanzaを最後に
いまだに現役のタイトルホルダーとコンピュータ将棋との対局は行われていない。


伊藤氏がコンピュータ将棋の世界から身を引いて以降、「名人」という単語は
どこかコンピュータ将棋界でタブーのようになっていたように見える。
第3回電王戦に出場した各開発者からは、名人と戦いたいという言葉は聞かれなかった。
伊藤氏の言葉を借りるならば、「仰ぎ見る対象であればこそ、勝ちたいと思う」に決まっているであろうに、だ。
それはきっと、ここまでの将棋連盟の対応の経緯を見た上での、諦めの気持ちもあったのではないだろうか。


その均衡を破ったのは、ponanzaの開発者の山本一成氏であった。
第2回電王トーナメントのPVにおいて、山本氏はこう発言している。
「名人と戦いたいです。戦える場が欲しいです。舞台が欲しいです。」と。
あくまで勝ちたい、ではないのだ。名人と戦うという機会が訪れないまま、人間対コンピュータの戦いがフェードアウトしていくような今の流れにあって、
それを良しとしているわけではないんだ、と開発者を代表して、必死に宣言したように私には見えた。

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そして冒頭の発言である。
http://ponanza.hatenadiary.jp/

「クラウドファンディングをしてお金を集める」という方法論がどこから来たのかというと、
これは故 米長永世棋聖が、"羽生名人と戦うのであれば対局料は7億円必要だ"と発言していたからである。
羽生名人自身が「コンピュータともし対局するのであれば、1年間すべての対局を休んで研究する必要がある」と答えたそうで
それを元に試算した金額が7億円とのことだ。
この経緯、あちこち突っ込みどころがあるような気もするのだが、これが当時の将棋連盟としての回答だったのである。

米長氏が亡くなり、連盟会長は谷川浩司氏となった。
タイトルホルダーとコンピュータとの対局に関して、電王戦の記者発表の際質問されたときに
「いつも悩んでいて、ずっと自分の中でも結論が出ないまま」と本音をちらつかせたことがあった。
勝負事における礼儀として、負けた将棋連盟側が最強と呼べる存在を出さないままでいることに対する葛藤、
それで負けた第三回電王戦に対する悔しさ、スポンサーに自分から進言することが立場上できないというジレンマ、等々
色々な感情が、そこには含まれていたように感じた。
こういった感情が、恐らく多くのプロ棋士達にあるのではないだろうか。
羽生名人がコンピュータとの対局について聞かれると、笑いながらもやや苛立ったように
「私に聞かないでくださいっていつもいっているんですよね(笑)」と答える姿は、やや異様である。
はっきり言い切ってしまえば、あの将棋大好き名人が、コンピュータとの対局に興味がないわけがないのだから。

そして山本一成氏は、堂々と宣言をした。
「今回の電王トーナメントで優勝したら、クラウドファンディングをして名人と戦う道を道を模索しようと考えてます。」と。
名人と戦うということに対する賛否両論、対局にもし羽生名人が負けたとしたらそのときに将棋連盟が受けるダメージ、スポンサーに対する配慮、
そしてそれでもこの対局を見たいと願う、多くの将棋ファン。
様々な意見が交差して答えが出ないまま膠着状態にあったこの問題に、「名人と戦いたい」とはっきりと意思表示をすることで
一石を投じたのである。

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11月1日から3日間、第2回電王トーナメントが行われた。
これは次回の電王戦FINALに出場する5ソフトを決める大会である。
ルール通りに指すこともおぼつかない出来たてのソフトや、筋違い角しかしないという個性的なソフト(去年当ブログで取り上げた)、
短い期間でBonanzaメソッドとStockfish探索という最短距離を通って強くしたソフトなど、その顔ぶれは前回にも増して様々である。
優勝候補はなんといっても電王ponanza。その他有力候補は満を持して登場の有名市販ソフト激指、
コンピュータ同士の対局が行われているfloodgateにおいて、今大会参加ソフト中最高レーティングを叩き出しているAWAKE、無印から大逆転で世界コンピュータ将棋選手権を優勝したAperyなどが上げられる。
以下突貫工事で挙動が心配ながら地力は高いとみえるやねうら王、第3回電王戦MVP習甦などが挙げられる。

初日はとにかく激指の大苦戦に驚いた。最終戦に勝って予選通過ギリギリの11位。
AWAKEはApery戦で必勝の局面から256手ルールに引っかかり引き分けなどが祟り7位、等々意外な結果もありつつ
全く強さがブレないのがponanzaで、8戦全勝と文句なしで1位通過を決めた。


2日目、決勝トーナメント1回戦は習甦対激指が好カード。ここで負けたソフトは敗退となる。
私は2位か3位あたりに入ると予想していた激指は、長時間の勝負になると力を発揮するといわれている習甦に破れ
電王戦出場を逃すという結果に終わった。
初日に振り飛車で星を落としたこと、純粋に全体のレベルが上がっていること、そして時の運。原因はいくつか考えられ、そのどれでもないと同時にどれでもあるのだろう。
激指開発者の鶴岡さんは、コンピュータ将棋の歴史を語る上で決して外せない重要な人物。彼を電王戦の舞台で見たかった。
2日目は最終的にponanza Selene AWAKE やねうら王 の4ソフトが勝ちあがり、電王戦出場を決めた。
残った1枠を5位決定トーナメントにおいて、さわにゃん N4S Apery 習甦 の4ソフトで争うこととなった。

そして今日、3日目はいよいよ大詰めである。
まず5位決定トーナメントであるが、優勝はApery。対習甦戦、対N4S戦どちらも磐石の差し回しであった。
世界コンピュータ将棋選手権優勝の際に「もっとも最強ソフトと力の差がある優勝者だったと思う」と謙虚に語っていた開発者の平岡さんであったが、
やはり高い実力をもったソフトであることを証明したといえる。と同時に、このソフトで5位というのは末恐ろしい。

そして決勝トーナメント。ponanzaはSeleneの序盤のミスを突き早々に作戦勝ち、龍を作って攻めまくりそのまま潰しきってしまった。もう一方はAWAKEがやねうら王の攻めをきっちり受けきり、切れ味鋭く攻めて快勝(6六桂がかっこよすぎる)。
はっきりと力の高さを見せ付けた両ソフトによる、頂上決戦が決勝にて実現することとなった。


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後手ponanzaは、AWAKEの初手▲7六歩に対して△3二金。
これは開発者の設定した決め打ちで、準決勝と同様の作戦。一般的にここから先手は振り飛車にすれば有利とされる。
しかしやはりコンピュータ将棋において振り飛車は明白に勝率が悪く、決勝トーナメントにおいては
初手▲2六歩を決め打ちし、強引に居飛車にする作戦も見られたほどだ。

それに対してponanzaの山本氏は、準決勝において初手▲7八金という作戦を見せた。
つまり定跡を外し、相手に振り飛車に組ませることによって作戦勝ちを狙う、ということだ。
そして同様に決勝でも2手目△3二金としたのだが、AWAKE開発者の巨瀬氏、これを読みきっていたそうだ。構わず▲2六歩と突き居飛車を宣言。
将棋は急戦矢倉模様、力戦調の戦いに進んでいく。

52手目、後手のponanzaが△8七銀打と放り込む。
8七の地点で清算し、飛車を切っての猛攻。戦前の予想どおり
「ponanzaが攻め切るか、AWAKEが受けきるか」という構図の将棋となった。

この攻めが切れているのかいないのか、全くよく分からない中103手目、▲5一飛車と打ち下ろして
AWAKEが反撃の含みを見せる。
以下△4一歩▲9六角△4二金寄▲2四歩と進み、後手ponanza陣に時限爆弾が仕掛けられた。

そして運命の116手目、△6七銀。これを指す直前にAWAKEの評価値は1000を超え、指した直後にponanzaの評価値は-400と大暴落した。
直前の115手目、▲4三角成と角を切ってきたAWAKEの手に対して、ponanzaの読みでは同金と取って勝つはずであった。
しかし同金に対しては▲2二金△同玉▲5二飛車成からなんと後手玉が詰む筋が発見されたとのこと。
コンピュータ将棋は長手数の詰みが絡んだときに、長い手数の先にある相手玉の必至の、その先の自玉の詰みを見逃すことがしばしばある。
第2回電王戦におけるツツカナ-船江五段戦の△6六銀が有名で、銀を捨てて相手の詰めろを消して勝ちだと思った矢先に
銀を捨てたことによる新たな詰み筋が生じてしまい、形勢が一気に逆転してしまったのだ。
http://news.mynavi.jp/articles/2013/04/10/denousen/002.html

ここからは、手元のBonanzaを使ってあれこれ検討してみた。
https://www.youtube.com/watch?v=jTpwGQwjpjU 携帯片手にあれこれやってます
122手目△4二金打は▲同龍△同歩▲2三歩成△同玉▲4一角から即詰み、
128手目△5三玉は▲3四角△2二玉▲4三角成から勝ち、どうも受け無しらしい。(BONANZAが受けるがどれも詰んだ)
134手目△5六角と頑張って2三の歩を抜いても、▲4二龍と入って勝ちと。△3二歩と粘っても▲2四歩ぐらいで、△3二桂と逆王手しても▲同金で勝ち、ということで
それをponanzaも悟ったのか、134手目から王手ラッシュとなってしまった。

勝負は時の運、将棋の奥深さゆえのドラマ。様々に理由を書くことができるのは、激指の敗退と同じである。
しかし確かなことがひとつだけあるとすれば、恐らく少なくともこの変化に関しては、AWAKEはponanzaに対して明白に読み勝ったのだ。

評価値はponanzaが-3000あたりから、1手指すごとに500ほどずつ下がり続ける。
一足早くAWAKEは9999と表示。お互いが詰みを読みきれば、コンピュータ同士の戦いでは一瞬で盤面が進み勝負がつく。
ponanzaが自身の負けを読みきった次の瞬間に、この勝負は終わる。
それまでのわずかなこの猶予時間、必死で勝ちを探そうと1手に時間をかけるponanzaと、ひとつずつ駒を取り終局へ向かっていく次代電王AWAKE。場内は静まり返り、「その瞬間」を見届けようとしていた。


そして、そのときは訪れた。訪れてしまった。
高速で盤面がバババっと動く。どうやら王手を連続で掛けているらしい様子だけがうっすら確認でき、勝負の決着を皆が悟る。
159手まで、ponanzaの21連勝の先にあった電王トーナメント初黒星。先手AWAKEの優勝で幕を閉じた。
大会前に「名人と戦いたい」という宣言をした山本一成氏。しかしその悲願は、一旦お預けとなったのだろうか。

表彰式では涙を浮かべ、「頭の整理がつかない」と述べていた山本氏。
対するAWAKE開発者の巨瀬氏は元奨励会三段とのこと。(訂正:一級で退会とのことでした。コメント欄にてご指摘を頂きました)プロ棋士の夢破れ、コンピュータ将棋開発の道へと進み
1年でレーティングを500上げてきたという。
その情熱たるやすさまじいものがあったと思うが、優勝のスピーチにおいては
「勝負の勝ち負けにそこまでこだわるつもりはなく、コンピュータ将棋と人間が関わりあっていくことで
お互いがレベルアップしていくことに意義があると思う」と述べていた。
勝負にかける熱意、意気込みを前面に押し出していた山本氏とは対称的であったが、
プロ棋士を目指して夢破れた人間の将棋に対する思いが、そんなにあっさりしているはずがない。
将棋界に、プロ棋士に、将棋に対する夢、憧れ、嫉妬、憎悪。恐らくあらゆる感情があって
それらを原動力にして今日、優勝トロフィーを掲げるに至ったのだと思う。本当におめでとうといいたい。


それでも私は、贔屓といわれるかもしれないが
批判を浴びる覚悟も背負って「名人と戦いたい」と発言し、あらゆる面でコンピュータ将棋の道を切り開いてくれた
山本一成氏に、準優勝おめでとう、と心から言いたいと思う。
戦前にtwitterでも書いたとおり、私は勝っても負けてもponanzaファンであり続けるだろう。



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しかしもしこれで、"羽生善治対コンピュータ将棋"が遠のいてしまうとしたら、これは残念では済まされない。
これはあらゆる批判反対意見を超えてなお、電王戦やコンピュータ将棋を含めた、多くの将棋ファンの悲願である。


コンピュータに対する反対運動というのは、歴史は非常に古い。
有名なのはラッダイト運動であろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%88%E9%81%8B%E5%8B%95

丁度これに関して、山本一成氏がブログに綴っているのでこちらも参照しておく。
http://ponanza.hatenadiary.jp/entry/2014/04/11/034549

実は、コンピュータ将棋に対する嫌悪というのも歴史が古いらしい。
こちらは手元にある「ルポ電王戦」(松本博文著 通称mtmtさん)で初めて知った情報であるが、
まだコンピュータが詰め将棋で初段くらいの実力、指し将棋はルール通りに指すのが精一杯であったという1968年。
1年間にわたって行われたアマチュア級位者~有段者とコンピュータ将棋との、詰め将棋対決の模様が朝日新聞に載っていたそうだ。
そしてコンピュータに破れた人達の、言い訳・非難・嘆きといったものの見苦しさたるやすさまじい(と断言する)。
曰く「機械には心がない」だの、「金を掛けたのだからできて当たり前」だの、「機械と競争などバカらしい」だのと。
一生懸命知恵を絞って、誰かが作り出したコンピュータであるに決まっているのに、だ。

創造主(神)に成り代わって人造人間やロボットといった被造物(=生命)を創造することへのあこがれと、さらにはその被造物によって創造主である人間が滅ぼされるのではないかという恐れが入り混じった複雑な感情。
これを"フランケンシュタイン・コンプレックス"と名づけたのは、ロボット三原則で有名なSF小説家アイザック・アシモフである。(ぶっちゃけフランケンシュタイン・コンプレックスで調べて今知った)
人類はまさしく産業革命によって自分達の仕事が奪われることを恐れラッダイト運動を起こし、
コンピュータに詰め将棋で負ければコンピュータを罵倒してきた、というわけだ。
しかしながらこれは、産業革命によって生まれる新しいビジネスチャンスや
コンピュータを利用した将棋の学習法や、もっと切迫した問題を山本氏が挙げている通り
クローン技術によって救えるはずの大切な命などは、考慮されていない。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080223

とある人物の言葉を引用すると、「我々は初めて火を使った人類の末裔である」のだ。
新しい技術の発展・発掘が、社会的弱者であったり遠い我々の子孫であったり
誰かの何かの役に立つことが、必ずあるはずである。
豊かさとは、きっとそういうことのためにあるはずなのだ。
と同時に、あらゆる技術をまず軍事転用に考える人類の業の深さというのも、我々は深く省みる必要もあるのだろう。


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「もしプロ棋士がコンピュータに負けたら、プロ棋士はその存在意義を失う」
という言葉は、常々聞かれてきた。そしてそれがあるからこそ、プロ棋士対コンピュータは去年まで実現しなかったのだろう。
そしてそれは現在ではこのように言い換えられている。
「もし羽生善治がコンピュータに負けたら、プロ棋士はその存在意義を失う」と。
ではプロ棋士の存在意義とは、価値とは。いったいなんなのだろうか。
もしコンピュータに負けることでその価値が失われるとするならば、プロ棋士の価値とはその強さのみであって
強さで全てを解決してきた人達が、自分より強い存在によってその価値を否定されるという、当たり前の事実がそこにあるだけではないだろうか?

しかしながらチェスの世界では決してそうなってはいない。カスパロフがディープ・ブルーに破れて久しい今、コンピュータチェスはスマートフォンでも人類を圧倒するほどに強くなった。
それでもプロのチェスプレイヤーは世界中に大勢いるし、彼らは依然として多くのチェスファンから尊敬の対象となっている。
日本将棋連盟が対コンピュータという局面において、自分達の存在意義、価値をめぐって揺れている現在。
だがこれは、将棋連盟の今後が危ぶまれているということではきっとなく
今まで将棋連盟が、自分達の棋力ということ以外のどのようなことに
自分達の価値を見出してこれたか、ということが強烈に試されているのである。

私は羽生名人対コンピュータ将棋の実現を心から望んでいる。
これは同時に、もし羽生名人が敗れたとしてもプロ棋士への尊敬の念は全く揺るがないからであり、
多くの人に取っても同様であると、信じているからである。


この一件に関しては大変残念なことに、山本一成氏に対する非難の声もかなり挙がった。
例えば「調子に乗りすぎ」とか、「プロ棋士への敬意がない」とか、「将棋連盟の不利益を考えろ」とかである。
しかし私はまだまだ子供だからか、こういう声にもいちいち憤慨してしまう。
山本氏は自身の立ち位置を踏まえた上で、コンピュータ将棋全体を代表して発言していっているのだと思うし
ponanzaをどこまでも強くするということこそ、プロ棋士に対する最大の敬意であるはずだ。
そして将棋連盟が被る不利益を鑑みることなど、相手に対する敬意に含む必要はない。
でなければ羽生七冠達成か?と沸き立つ中で防衛、七冠を阻止した当時の谷川王将は、
将棋界に対する甚だ不敬物ということになってしまう。
あるいは翌年達成された七冠に対して、「全棋士に取って屈辱です」と答えた森下九段も、だ。
将棋そのものに対する探究心と、相手に対して勝率を最大化する努力以外に、対戦相手に対する敬意などないはずなのだ。

GPS将棋開発者の金子さんだったと思うが、第2回電王戦で約700台のクラスタ構成で出場したことに関して、
「初めてプロ棋士に勝つコンピュータになる可能性を考えれば、"もう少し強くできる"と余力を残した状態で戦うのは失礼だと考えた」という趣旨のコメントをどこかで聞いた。(論文に記載されてたのかも)
勝負事の常識として考えれば、これだけ負けが続いていながら
羽生名人という最強のプレイヤーを出そうとしない将棋連盟は、対戦相手に対して非常に無礼であるといわざるを得ない。
プロ棋士を相手に、開発者の方々は「コンピュータを強くする」という形で、最大限の敬意をプロ棋士に払っているのだ。
むしろ本来それを尽くすべきは、ここまで負け越しているプロ側のはずなのだから。


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以前も書いたが、コンピュータと人間が将棋というゲームを通じて
非常にいい勝負を繰り広げているという事実の持つ価値・神秘さ・ロマンを、関係者は今一度省みるべきだと強く思う。
そして歴史上最強であろう男が、今まさに名人に君臨している。こんな好機はこの先訪れない。この対戦を実現させない手はないはずだ。
コンピュータ将棋に賭けてきた男達の情熱のゴールを、どうか用意してやってはくれないか?
そう願ってならない。

羽生名人対コンピュータ将棋が、パッキャオ対メイウェザーのように実現しないか、
タイソン対ホリフィールドのようなショッキングな結末になるのか、デラホーヤ対トリニダードのような凡戦になるのか。
しかし私は、レナード対ハーンズのような、名勝負が生まれるような気がしてならないのだ。
日本将棋連盟の英断に期待する。
  1. 2014/11/04(火) 00:30:22|
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